「自分は直接手を下していないから、死刑にはならないだろう」トクリュウなどの犯罪組織の指示役や、さらにその上に君臨する首謀者(黒幕)たちは、スマホの画面越しに安全圏から命令を下しながら、そう高を括っているかもしれません。
しかし、日本の司法はそこまで甘くありません。
むしろ組織犯罪においては、「現場にいなかった人間こそ、最も重い罪(極刑)に問われる」ケースが多々あります。その法的な理由を紐解きます。
1. 現場にいなくても張本人とされる「共同正犯」の心理
日本の刑法第60条には「共同正犯」という規定があります。これは「2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯(張本人)とする」というものです。
犯罪の全体計画を立て、実行犯を道具のように使って犯罪を実現させた場合、たとえ本人が現場にいなくても、実行犯とまったく同じ「張本人」として扱われます。
これを法律用語で「共謀共同正犯」と呼びます。
首謀者・指示役:犯罪のシステムを作り、利益の大部分を得る「主犯」
現場の実行犯:命令に従って動かされた「手足」
裁判では、誰が最もその犯罪において「本質的な役割を果たしたか(正犯性)」が重視されます。そのため、安全な場所からコントロールしていた首謀者や指示役の方が、現場の実行犯よりも責任が重いと判断されるのが一般的なのです。
2. 栃木のトクリュウ・強盗事件に見る「極刑」のリアリティ
近年、栃木県内ではトクリュウが絡む極めて凶悪な事件が相次いでいます。
那須町の夫婦遺体遺棄・殺人事件(2024年)
実行役だけでなく、裏で「消してほしい人がいる」と計画し、資金を動かしていた首謀者や指示役など、組織の階層を超えて全員が殺人罪などで起訴されています。
上三川町の強盗殺人事件(2026年5月)
指示役とみられる夫婦が、通話アプリを使いリアルタイムで未成年の実行犯たちに凄惨な犯行の指示を出していたことが報じられています。さらにその上には「首謀者」が存在するとみられています。
これらの事件で被害者が亡くなっている場合、適用される罪名は「強盗殺人罪」または「強盗致死罪」です。
日本の刑法において、強盗殺人の法定刑は【死刑】または【無期懲役】の2種類しかありません。
「強盗をしろ、抵抗されたら殺せ」と直接命じた指示役はもちろん、「手段を問わず強盗を成功させろ」とだけ命じていた首謀者であっても、「被害者が死亡するリスク(未必の故意)」を認識していたとみなされれば、同等の強盗殺人罪が成立し、検察側から死刑を求刑される可能性は極めて高いと言えます。
3. 過去の判例が示す「上層部ほど重罪」の原則
日本の裁判には、過去の重大事件から引き継がれている明確な基準があります。
オウム真理教事件
麻原彰晃(松本智津夫)元死刑囚は、一連の殺人事件の現場には一度も赴いていません。しかし、「弟子たちに指示を出して実行させた」教団のトップとして、すべての事件の共同正犯(あるいは組織的殺人の首謀者)と認められ、死刑が確定・執行されました。
ルフィ広域強盗事件
フィリピンの収容所という、日本の犯行現場から何千キロも離れた安全圏から指示を出していた幹部らに対しても、検察側は極めて重い刑を求刑し、無期懲役などの判決が下されています。
これらの判例からも分かる通り、現代の裁判員裁判では「SNSや通話アプリで遠隔から若者を操り、自分たちの手を汚さずに大金を得ようとする組織犯罪の上層部」に対して、非常に厳しい姿勢を崩しません。
※日本の刑法の有期刑の最長が30年。
無期懲役の場合は、最低30年仮釈放の審査請求はできないです。だいたいが50年経てから仮釈放の審査らしいですが、50年では仮釈放されないらしく終身刑と同じらしいです。
結論:トクリュウ上層部を待つ「終わりの始まり」
栃木の事件のように、トクリュウによる犯罪は
「首謀者 ➔ 指示役 ➔ 仲介役 ➔ 実行役」
と細かく分断されていますが、警察の執念の捜査によって、通信履歴から上層部は必ず特定されます。
現場に行かなかった首謀者や指示役が、逮捕された瞬間に「私は現場に行っていない、殺せとは言っていない」と言い訳をしたところで、裁判所には一切通用しません。
命を奪うような凶悪な強盗ビジネスをプロデュースした黒幕たちを待っているのは、実行犯たちを巻き添えにした「死刑求刑」という、弁解の余地なき破滅の末路なのです。
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